開催概要
- 開催日程
- 2022年1月8日(土)10:00~19:00(予定)
- 開催方式
- オンライン開催
- テーマ
- 「 “壁”を超える 」
ご挨拶
大阪大学 総長 西尾 章治郎
今日の社会においては、取り巻く環境の変化が速く、その複雑度も増してきています。SDGsによって提示され、また、今般のコロナ禍によって明らかになった現代社会に山積する課題を前にして、今、大学に求められていることは、そこで育まれる「知性」、「英知」を結集して社会との共創を活性化させ、新たな社会を創造する「場」となることです。大阪大学は、その目指すべき「新たな社会」の姿こそが、コロナ新時代においてカーボン・ニュートラル社会やSDGsの理念を実現し、すべての人がその多様性を生かすことで社会を支え、豊かで幸福な人生を享受できる社会、すなわち「生きがいを育む社会」であると考えています。「生きがいを育む社会」の創造のため、大学は産業界のみならず、市民や地方自治体、国際機関など、まさに社会の多様なステークホルダーとの共創により、地域から世界に及ぶさまざまな課題に果敢に挑戦し、その解決を図る必要があります。
本学では、そのための活動基盤をなすものとして、OU(Osaka University)エコシステムを確立しています。OUエコシステムは、大学本来の自由な発想による研究の蓄積、人材育成を行いながら、その成果を社会で実装あるいは実践し、その過程で明確になった課題を再び大学に還元し教育研究を発展させて、知・人材・資金の好循環を生み出すシステムです。さらに社会との共創を通して、「生きがいを育む社会」を創造していくための中長期的なビジョンとして、OUマスタープラン2027の策定を進めています。OUマスタープラン2027は、教育・研究・経営の基盤的な三本の縦軸があり、それらを横断的に支える情報基盤・グローバル戦略・ダイバーシティ&インクルージョン・豊かな時間の創出・広報戦略という横軸で構成しています。これらに共通して求められることは、これまで個別に管理していた学生情報、人事、財務、研究などのデータを統合した高度なデジタルプラットフォームです。本学は教育、研究、経営全般にわたる高度なデジタル化、すなわち、大阪大学全体のデジタル・トランスフォーメーション(OUDX)を着実に進めることにより、コロナ禍の中でも時代の変化に速やかに対応し、データとデジタル技術を最大限活用して「生きがいを育む社会」の創造に貢献できると考えています。
このコロナ禍において停滞した経済の立て直しや環境問題への取組み、より持続可能性の高い社会を目指すグリーン・リカバリー、さらにはSDGsの活動が加速していく中で、各大学におかれては、社会課題の解決に果敢に挑戦し、未来社会を創造する人材を育成していくための大学院教育における様々な取組みが行われていることと思います。
第1回目となる今回の大学院教育改革フォーラム2021では、「卓越大学院プログラム(WISE)」の各採択大学で実施されている取組みについての意見交換や学生の成果発表、さらには、各大学で自立した新しいプログラムとして継続されている「博士課程教育リーディングプログラム」の現状に関する情報交換等を中心としつつ、博士課程学生と修了生及び大学・産業界・官公庁等の関係者が集まり、今後の大学院教育の在り方について考える機会にしたいと考えておりますので、活発な意見交換にぜひご協力をお願いいたします。
大阪大学大学院教育改革フォーラム2021事業委員会委員長、大阪大学 理事・副学長 田中 敏宏
博士課程教育へのご理解とご支援、そして本フォーラムへのご出席にお礼申し上げます。
Society 5.0、SDGsの実現を見据え、将来の社会・経済を担う高度な「知のプロフェッショナル」養成への希求が日々高まる中にあって、平成30年度から令和2年度までに「卓越大学院プログラム(WISE)」が全国17大学計30プログラムで開始されています。同事業で採択された各大学の先導的なプログラムにおける取組・成果については、広く我が国の今後の大学院教育改革に活用されることが重要であり、そのために各大学院の現場における現状・課題、博士課程修了生の状況、今後に向けた政府の施策等を関係者間で共有し、議論する場が求められています。
現行の「卓越大学院プログラム(WISE)」では、その取組・成果を我が国の大学院教育改革につなげることに重きを置いているところ、従前の「リーディングプログラムフォーラム」で行っていた取組に加えて、広く大学院教育改革の機運醸成を図る場として「大学院教育改革フォーラム」を開催する運びとなり、初年度は、大阪大学が文部科学省からの依頼を受け、幹事校を引き受けさせていただくことになりました。
将来の社会・経済を担う高度な「知のプロフェッショナル」養成を行うにあたり、学内において、研究分野や研究科・専攻の“壁”、さらには、国内外、国際舞台における様々な文化、言語などの“壁”が存在し、卓越大学院プログラムの採択大学の皆様方、博士課程教育リーディングプログラムでの取組みを引き続き継続されている各大学の皆様方におかれましても、さらなる大学院改革を推進するにあたっては、各種各様の“壁”に対して、いろいろな問題を抱えていらっしゃることと存じます。
そこで、第1回目の大学院教育改革フォーラムのテーマを「“壁”を超える」と設定させていただき、皆様方が抱える様々な“壁”をいかに“超え”て「知のプロフェッショナル」の養成を推進するかについて熱い議論を戦わせたいと考えております。
大阪大学大学院教育改革フォーラム2021事業委員会副委員長/実行委員会委員長、大阪大学 副学長 森井 英一
この度、第1回大学院教育改革フォーラムを開催できますことを厚く御礼申し上げます。
現在、これまでにないスピードで様々なイノベーションが生活の質の向上に貢献しています。イノベーションは日々の研究の積み重ねに、様々な観点からの批判や応援があって初めて実現するものです。新たなイノベーションの端緒となるのは、ほんの些細な情報と情報のリンクであることが多く、互いの情報を持ち寄り討論できる場、何らかの活力が得られるような場に身を置くことが近道だと考えます。このボーダーレス社会のなか、これまで博士課程教育リーディングプログラムや卓越大学院プログラムをはじめとした大学院教育が、専門分野、産官学の枠を超え一体となり、豊かな社会の構築の実現に資するべく教育を提供してきました。
本フォーラムでは、現在の大学院教育において、社会との間に存在するどのような“壁”をいかに超えようとしているか、独創的な教育活動の事例紹介やお互いの体験を情報交換し、助言しあい、大学院教育の未来像を描くことを期待しています。本フォーラムで得られた気づきを、皆様がそれぞれの大学院教育活動の現場で活かしていただくことで、社会にとってより有意義な大学院となることを祈念いたします。